大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

東京家庭裁判所 昭和29年(家イ)1256号 審判

本国 米合衆国カルフオルニヤ州

住所 東京都○○区

申立人 マーガレツト・ブラウン(仮名)

本国竝びに住所 申立人に同じ

相手方 ジエームス・ブラウン(仮名)

右当事者間の離婚等事件について、当裁判所は申立書及び当事者双方の陳述に基いて、日本国法例と夫の本国法である米合衆国カルフオルニヤ州の離婚に関する法律並びに日本国家事審判法を適用して次の通り審判する。

主文

申立人と相手方は本日離婚する。

(家事審判官 近藤綸二)

(参照)

事件の実情

申立人は相手方と一九四八年○○月○○日ベルリンで結婚しました。

申立人と相手方がアメリカ本国に帰つて間もなく、相手方はものすごくお酒をのみ出し、醉ふと申立人に対し乱暴したり虐待をしたりしました。申立人は相手方に対しその様に酒乱になるほどの深酒はやめる様歎願しました。

相手方はお酒をやめて一・二週間はよくしているのですが、再び深酒をしては虐待をしました。そして飮酒の度合はひんぱんになり、しばしば虐待をする様になり、申立人に対してはありもしない事、他の男の人と遊びあるいている等と云つてとがめだてをしました。相手方は飮酒とある「かけ事」もしばしば行い、その結果家計にも事かく様になりました。

その為申立人は十分なお金を得る為外に出て働かなければなりませんでした。申立人は離婚を思いたちましたが、相手方は改心することをちかいました。丁度その頃相手方は日本に転任になりました。

相手方は申立人に対し、手紙を書いて、人間が変つたかどうか日本に来てほしいと云つて来ました。申立人は仕事をやめて日本に来ました。

日本について間もなく、申立人は相手方がまだお酒とかけ事をやめず以前通りの悪習慣をもつている事を知りました。

申立人は結婚を成功させるべく最善をつくしましたが、それは失敗に終つたと申さなければなりません。

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!
©大判例